鳥巻メモ

https://tsurumaki-office.com/

「子規・漱石」


高浜虚子の回想録「子規・漱石」のページをめくっている。
後半の漱石から読み始めて、現在は、前半の子規の章を読んでいる。


漱石は、虚子の催した連歌の会に参加し、創作の延長上、何気なく「猫」を書いた。
その後、「猫」は虚子主宰の「ホトトギス」に掲載され、好評を得ることになる。
以来、虚子は、漱石の編集者という立場になり、スケジュールの確認など、二人の
間で頻繁に手紙のやり取りが行われた。本書には、漱石の思い出とともに、同氏か
らの幾編もの手紙が掲載されている。手紙の文面は、ユーモアがあり余裕のある感
じである。「道草」「硝子戸の中」時代の漱石とは、まったく違う印象を受ける。


従軍中に喀血をし、明治29年に松山に帰省した子規は、1カ月ほど、漱石の下宿に
泊まった。その借家は、四十位の一人の未亡人と、若い娘さんが営んでいた。祖父
の財産で争ったお嬢さん。大学で哲学を専攻した子規。こう書き連ねていくと、あ
るストーリィを思い出す。漱石の「こころ」である。ただ、似ているのは、そのア
ウトラインだけだけれどネ。