鳥巻メモ

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『白痴』読了

ドストエフスキーの『白痴』(新潮社刊)を
ようやく読み終えた。


巻末の解説を読むと、ドスト氏は
主人公の「公爵」を、純真さのモデルとして
描きたかったらしい。


人を恨むこともなく、
逆に深い愛情も持たない主人公。


今まで考えたことがなかったけれど、
言われてみれば、純真さは、奥行きのない
平坦な感じかもしれないねぇ。


ま、それは良いとして、
本書では、「公爵」の汚れなさが、
自我の強い周囲の人々を振り回し、


ストーリィが進むにつれ、
逆に「公爵」本人が、周囲の人たちに
振り回されてしまうという、
難解な心理関係が描かれている。


ちなみに、小林秀雄
ドストエフスキイの生活』によると、
ドスト氏は、当小説を書くに当たり、
14日の間に、毎日、平均6つの異なるプランが立てたという。


「公爵」も、まったく正反対な、
利己的な性格として考えられていたらしい。