1929年から数年間、ジョージ・オーウェルは、
パリで皿洗いとして働き、ロンドンでホームレス生活を送った。
とくに、家が貧乏だったわけではない。
オーウェルのジャーナリズム気質に起因していたようだ。
当時のことをルポした「パリ・ロンドン放浪記」は、
「カタロニア讃歌」と同様、対象との距離の置き方が秀逸で、
オーウェルの優しさも感じられる。
パリで生活をともにしたロシア人のボリス、
ロンドンで出会ったボゾは魅力的な人物として描かれている。
「私の話はこれで終わりである」(My story ends hire)から始まる、
肩の力を抜いた文章は良いよなぁ。