原材料が高くなる、
ということは、
資源の少ない日本から、
資源のある国にお金が移動する、
と言ってしまうと、やや抽象的なので、
もう少し、規模を小さくしてみると、
会社は原材料の高騰分を、
自社の作るモノの値段に転嫁するか、
あるいは、自社の流動費や固定費を
切りつめることになるだろう。
消費者からすれば、石油製品を中心に、
いままでより高い商品を買うことになる。
ただ、需給関係によるインフレは、
商品が高くなれば、消費者は節約し出すので、
じきに、需要が減って、
モノの値段は落ち着くだろうサ。
問題は、
政府の失策によるインフレだと思う。
実際、日本は戦後、ハイパー・インフレを
経験していて、
大正生まれの作家たちは、
そのことに触れた作品をいくつか、残している。
僕は、この作品は失敗作だと思うけれど、
ただ、当時の状況を知るには、一読の価値はあると思う。
本小説には、ハイパー・インフレの原因について、
「日本経済図説」が引用されている。
「終戦後終戦に伴う色々な事務を処理するため、 民間の企業家は、 政府及び民間に、 日銀は、 その結果、日銀券は加速度的に増加したのである」 |
では、どの程度のインフレだったのか。
こちらは、日本銀行統計局の東京小売物価指数が引用されている。
1934〜6(昭和9年〜11年)を100として、 昭和20年 308、昭和21年1893、昭和22年5099 (以上、総平均) |
となっている。
約10年で50倍かぁ。。。