広告の打ち合わせには、
怪しい横文字が多い。
たとえば、ポジショニング、
たとえば、コンセプトなど。
コンセプトは、あいまいで、
コンセプトのコンセプトは何?
と問われると、困るだろう。
少なくとも、僕は、そうだ。
漱石の評論を読んでいて、
なるほどなぁ、と感心した覚えがある。
細かなことは、定かではないが、
こんな感じだ。
ある日、外を歩いていたら、
ワンワンと吠えるヤツがいる。
次の日、歩いていたら、
違うヤツが、やはり、ワンワンと吠えている。
こいつらは似ているから、犬と言うことにしよう。
そうすると、
また違うヤツが、ワンワンと吠えている。
ああ、こいつは犬だな、と思う。
ある日、友人と会う機会があった。
「俺サ、ワンワンと吠えるやつがいたんで、
そいつを犬と呼ぶことにしたよ」と言う。
すると、友人は、
「ああ、俺もこの前見たよ、
犬、いいねぇ、俺も犬と呼ぶことにしたよ」と言う。
それ以来、二人は、実際に目の前に犬がいなくても、
犬というだけで、通じるようになったのである、
ワンワン。