「道楽と仕事」


漱石の「道楽と仕事」を再読した。こういうことが書いてある。


太古の昔、自分の生活は、自分だけでまかなっていた。
そういう時代があったかも知れないし、なかったかも知れない。
ただ、我々は、そういう生活を理想としている。
人から給料をもらう心配がないし、朝起きてあいさつをする必要もない。


しかし、現実は違う。
職業がますます増え、我々は多くの人の世話になっている。
違う言い方をすれば、自分で仕事をして、その報酬で、
自分に不足しているものを、他の人から世話してもらっているわけである。


また漱石先生は、こう、おっしゃる。
「人の為にする分量は、すなわち己の為にする分量である」


で、僕は、ここが重要な点だと思うのだけれど、
漱石先生は、人の為というのは、教育など道徳的・精神的なことではなく、
人のご機嫌をとれば、というくらいのことを、おっしゃっている。
ま、そうなると、自分を曲げ、はなはだ窮屈になるわけネ。


「道楽が職業と変化する刹那に今迄自分にあった権威が突然他人の手に
移るから快楽が忽ち苦痛になるのは己を待たない」