吉本隆明は、
こういってるんだなぁ。
知識について関与せず、
生き死にした市井の無数の人間よりも、
知識に関与し、
記述の歴史登場したものは価値があり、
またなみはずれて関与したものは、
みななみはずれて価値があるものであると
幻想することも、人間にとって必然である。
しかし、この種の認識は、
あくまでも幻想の領域に属している。
幻想の領域から現実の領域へと
はせぐだるとき、
じつはこういう判断が
なりたたないことがすぐわかる。
市井の片隅に生き死にした人物のほうが、
判断の蓄積や生涯にあったことの蓄積について、
けっして単純でもなければ、
劣っているわけでもない。