不思議な少年

自身の遺言で、死後100年封印されていた
マーク・トウェインの自伝が、出版されているそうである。


マーク・トウェインいうと、
「トムソーヤの冒険」や「ハックルベリーの冒険」が有名である。


残念ながら、僕は、それら代表作を読んだことはないけれど、
最晩年の作品「不思議な少年」は読んでいる。


まだ魔女狩りが行なわれていた、16世紀のオーストリアが舞台。
サタンという名前の天使が出てくる不思議な物語だ。


書棚から引き出し、解説を読んでみると、
晩年の作者は、人間不信に陥っていたそうで、
初期の作品のような明るさは、見られないそうだ。


ついでに、印象的なページの耳が折ってあったので、
そのページを読んでみた(p87〜88)。こんな感じだ。


弱肉強食の野獣は、一見残酷に見えるが、
それは無心でやっていることであって、けっして悪でない。
野獣には、他を傷つけて、喜ぶことはない。
それをやるのは人間の方である。
良心を選ぶ自由があるといいながら、
十中八九、悪の方を選んでいる。


ま、たしかに、暗いかな。
アメリカの小説でありながら、
なぜか、親鸞の「悪人正機説」に通じるという。