「超マクロ展望 世界経済の真実」(水野和男/萱野稔人)
を興味深く読んだ。いくつもの刺激的なポイントがあった。
そのひとつは、以下のような感じ。
かつて、アメリカは強かった。
その脅威をバックに、石油の流通を支配し、
値段のイニシアチブもとれた。
しかし、60年代より、資源国が力をつけ、
OPECが値段を決め(オイルショックになり)、
70年代に入り、実質上、ベトナム戦争に負け、
従来のように、我がもの顔で、廉価な石油を使うことができなくなった。
ここで、優位な交易条件の前提が崩れる。
原油を安く仕入れ、それを元に、高いモノを作り輸出する、
前提条件が崩れてしまった。
当初アメリカは、自国の通貨を減価させる為替政策
(ニクソン・ショック)により、
モノの輸出を基本に据えていたのかも知れない、
が、しかし、70年代後半から、
アメリカは、モノの輸出ではなく、金融で儲けを出す方針に転換してゆく。
それから、リーマンショックが起き、現在に至るわけだが、
そのへんになると、理解不能である。本書から、引用させて頂く。
「95年以降、アメリカは事実上日本やアジアの新興国で余っているお金を自由に 使えるようになったということです。国際資本の完全移動性が実現したというの は、全てのマネーがウォール街に通ずるようになったということです。世界の余 剰マネーがコントロール下に入ったということですね。これが金融空間の拡大に 拍車をかけました。そうした世界中から投資されるお金によって、アメリカでは ITバブルや住宅バブルが起こり、その過程で、債権の証券化などのさまざまな金 融手法が開発され、サブプライムローン問題なども生じてきたのです。 こうして、95年から金融危機がおこる08までの13年間で、世界の金融空間で 全体としてどれだけのお金がつくられたのかというと、100兆ドルに達するんで すよ。レバリッジを二倍にすれば、200兆ドルになります」(同書 P35〜36) |