司馬遼太郎の「坂の上の雲」は、
日露戦争の詳細な戦況にとどまらず、
広い視野から、それを眺めている。
中でも、意外に思ったことが、
ロシア帝政により圧迫されていた人達の憎悪が、
同国敗戦の遠因になった、ということである。
ロシアは、ユダヤ人を迫害していた。
ユダヤ人の富豪ヤコブ・シフは、
日露戦争で日本が勝てば、帝政ロシアが衰弱すると思い、
人気のなかった、戦費調達のための日本の公債の半分を引き受けた。
(ちなみに、投資家のジョージ・ソロスも、
ソビエト崩壊に、金融面で深くコミットしていた。
自書の中で、そう書かれている)
日露戦争時、日本政府は、
明石元二郎という人物に、100万円を渡し、
ロシアの諜報と革命の煽動に当たらせた。
(当時、日本銀行の持っていた金貨が、
約1億1千万円と言うから、大金だよなー)
ロシアには農奴と呼ばれるロシア特有の階層があり、
地主の都合で売買されていた。
気に入らなければ、シベリアに流刑することもできた。
さらに、ポーランド、フィンランドは、
半ば強引に属国にさせられ、ロシア帝政に不満を持っていた。
明石元二郎は、ヨーロッパ各地を遁走し、
不満分子たちの作る革命団体を支援し、ロシアの内部崩壊を助長させた。