当時のドイツ的影響


漱石に「點頭録」という評論がある。


第1次世界大戦の影響について、友人から問われ、
感想を述べたものだ。


欧州各国の勝ち負けより、むしろ、
ドイツの軍国主義(力の信仰)が、
イギリス・フランスの精神(自由や平和)にどう影響するか、
そのことに関心がある。論は、そう進んでいく。


最後の結びは、以下の通りである。


「自分は独逸によって今日迄鼓吹された軍國的精神が、其敵國精神たる
 英佛に多大の影響を興へた事を優に認めると同時に、此時代錯誤的精神が、
 自由と平和を愛する彼等に、斯(かくのごと)く多大な影響を興へた事を
 悲しむものである」


、、、司馬遼太郎の「坂の上の雲」を読むと、
第二次世界大戦の日本軍の暴走の兆しは、明治期にあったことが知れる。


ひとつは、
陸海軍の統帥権は首相ではなく、天皇に属していたこと。
軍隊は、閣議の制約を受けなかったんだネ。


もうひとつは、ドイツ(プロシア)を御手本にし陸軍の影響が、
大きくなっていった、ことなんだなぁ。