住専


かつての「文藝春秋」に、城山三郎、中山素平、宮沢喜一
三氏の対談が掲載されている。


本稿を読んでいて、
空気のように気にかけなかった官僚が、
世間にその輪郭を現したのは、住専問題ではなかったのかと思った。


当時、マスコミがミスリードした複雑な住専問題を、
本稿では、宮沢元首相がスマートに解説している。

こういうことだと思う。


住専とは、
住宅を購入する際に、お金を貸す機構であった。


住専自体はお金を持っていないので、
各金融機関からお金を借りていたのだが、
そのうち、6兆4千億円のお金が返せなくなってしまった。
(けんとうも付かないほど、莫大なお金だね)


その対処策としては、
まず、住専を作った母体行が、3兆5千億を債権放棄した。
次にその他の金融機関も追随し、1兆7千億を放棄した。


6兆4千億ー(3兆5千億+1兆7千億)=1兆2千億


残りの1兆2千億円をどうするか。
ここで、住専に巨額のお金を貸し出していた農協系の金融機関に
泣いてもらおうというハナシになったらしい。


がしかし、そう簡単にはコトが進まなかった。


このハナシが出る以前、住専の財務状況を危惧した
農協系の金融機関は同機構からお金を引き上げようとしたが、


そうなると、同機構の仕組みが壊れてしまうので、
旧大蔵省は、迷惑をかけない旨の覚書きを、農協系の金融機関に
渡していた経緯があった。


で、この覚え書ききをタテに、農協系の金融機関は大蔵省の提案を拒否。
結局、1兆2千億のうち、5千3百億分を寄付するという形となった。


1兆2千億ー5千3百億=6千8百億


この残りの6千8百億円を税金で、まかなってしまえ、
というハナシになった。


ま、簡単に言ってしまえば、旧大蔵省と農水省の裏事情を、
うやむやにして、税金でまかなおうとしたみたい。
こういうことって、あるんだなぁ。