燃料電池(はじまりから、アポロ搭載まで)3


燃料電池、宇宙に飛ぶ


大手のGE社
(ゼネラル・エレクトロニクス社)も、
燃料電池の研究に着手しています。
W.グラブは軟水器からヒントを得て、
電解質にポリマー膜を用いた、
固体高分子型の燃料電池の原型を作りました。


その後、改良されたこの燃料電池は、
アメリカNASAで推進されていた
宇宙開発に取り入れられることになります。


最初に導入されたのは、
ドッキングや船外活動を目的とした
ジェミニ計画です。


当初、軌道衛星ジェミニ船の動力源として、
太陽電池も有力視されていましたが、
シンプル性、軽さ、そしジェミニ船との
相性等から、GE社製の固体分子型の
燃料電池が搭載されることになります。


そして実際に、初めて燃料電池を搭載して
空を飛んだのはジェミニ5号からで
宇宙船を衛星軌道に乗せる時と、
ビデオとラジオの実験の際に使用されました。



●アポロ計画には、「アルカリ型」


さて、次のアポロ計画では、
70%の発電効率が見込めること、
純水素使用の副産物である水が
乗組員の飲料水として使えることから、
アルカリ型燃料電池が搭載されることになります。


ユナイテッド・エアクラフト社
(現ユナイテッド・テクノロジー社)が
担当した燃料電池は、1号から搭載され、
7号から副産物である水が
飲料水として使用されました。


トム・ハンクス主演の映画でも、
知られているアポロ13号。


トラブルを乗り越え、
コーヒーメーカー9杯分の
電力だけで、地球に帰還したのは、
とても興味深いエピソードでした。


じつは、この時のトラブルの間接的な
原因になったのが、燃料電池だったのです。


トラブルは次のようにして起こりました。


2号酸素タンクの酸素の撹拌が引き金となり、
1号と2号の酸素タンクをつなぐバルブと、
1号燃料電池と3号燃料電池の反応バルブが
破裂してしまいます。


その結果、3つの燃料電池のうち、
作動するのは、2号燃料電池になってしまい、
電気機器につなぐ2つのメインバスのうち、
メインバスBはまったく使えず、
メインバスAもわずかしか
使えない状況になってしまいました。


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執筆   有限会社 鶴巻事務所
イラスト 長嶺デザイン事務所


燃料電池(はじまりから、アポロ搭載まで)1〜3 参考図書

燃料電池第2版 (高橋武彦/共立出版),トコトンやさしい燃料電池日本工業新聞社燃料電池研究会),世界の宇宙開発(旺文社)アポロ13号奇跡の生還(ヘンリー・クーパーJr./新潮文庫