「草枕」には、美文調の読みにくい箇所があるが、
一方では、初期の作品だけあって、江戸っ子らしい
漱石の洒脱な感じを読むことができる。
(すべて美文調だったら、読み通せないって)
ところで、「彼岸過迄」の最後の方に、次のような文がある。
自意識過剰な主人公・須永に対する、ある登場人物のアドバイスである。
「内へ内へと向く彼の命の方向を逆にして、 外にある物を頭へ運ぶために眼を使う代わりに、 天下にたった一つで好いから、自分の心を奪い取るような偉いものか、 |
この言葉を受けて、須永は旅に出るわけだが、
「草枕」に出て来る画工の主人公は、その続きのような感じがするねぇ。
(作品発表の順番は逆だけれど)