故に、昔年の異端妄説は今世の通論なり、昨今の奇説は今日の常談なり。 然らば則ち、今日の異端妄説も亦、必ず後年の通論冗談なる可し。 学者宜しく世論の喧(かまびす)しきを憚(はばか)らず、 |
或は又、他人の説を聞きて我が持論に適さざることあるも、よく其の意の在る所を察して、 容(い)る可しものは之を容れ、容る可からざるものは暫く其の向ふ所を任して、 他日双方帰する所を一にするの時を待つ可し。 則ちそれ議論の本位を同じふするの日なり。必ずしも他人 |
以上、「文明論之概略」より
なお、この「多事争論」は、ギゾーの「文明史」より多くの暗示を受けている。