といっても、新潮社の文庫本には
「本居宣長補記」が付載されていて、
まだ本を閉じるという訳にはいかない。
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文字(漢字)が伝わる前に、日本では、
日本固有の大和言葉が話されていた。
違う言い方をすれば、僕たちは日本人は、
漢字の伝来以来、次第に、その仰々しさに慣れてしまい、
大和言葉の持つ、しなやかさ、繊細さを、
ふだん生活する上で、意識することがなくなってしまった。
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「補記」によると、
こよみ、ふゆ、なつ、あき、ふゆ は大和言葉であるらしい。
それを、古代の人たちは、暦や、春夏秋冬といった漢字に
当てはめていった。もっとも、そのニュアンスは異なり、
たとえば、暦 が唐国の歴法を指すのに対し、
こよみ は、自然の移ろいから時を知る感じがある。
もう少し踏み込めば、季節がめぐる心映えまで、
含まれるかも知れない(本書から、オレは、そう読んだわけダ)。