「本居宣長」備忘録2


宣長は、先に言ったように、人々が、その限りない弱さを、
神々の眼に曝すのを見たわけだが、そういう、何一つ隠しも飾りも
出来ない状態に堪えている情(こころ)の、退っ引きならぬ動きを、
誰でも持って来て生まれて来た情の、有りの儘の現れと解して、
何の差し支えがあろうか。


とすれば、人々が、めいめいの天与の「まごころ」を持ち寄り、
共同生活の上での秩序附け、これを思想の上で維持しようが為に、
神々について真剣に語り続けた、そのうちで、残るものが残った
のが「神世七代」(古事記)の物語に他ならぬ、そういうことになるのではないか。
(P251〜252)